デザイナーさんに制作をお願いしたとき、「なんだか、思っていたのと違う……」「もっとおしゃれになると思っていたのに……」という経験はありませんか。何度も修正をお願いするのは申し訳ないし、結局モヤモヤしたまま妥協してしまう。とてもよくあるお悩みです。
この記事では、その「伝わらない」がなぜ起きるのかと、AIを使って解決する具体的な手順をご紹介します。デザインの知識は必要ありません。
デザインは「センス」ではなく「ヒアリングとリサーチ」
私自身、画像生成やデザインの仕事に関わることが増えてきて、一つの大きな気づきがありました。それは、デザインで一番時間がかかり、一番重要なのは、手を動かす作業ではなく「ヒアリングとリサーチ」だということです。
デザインは、センスやひらめきで作られていると勘違いされがちです。でも実際はロジック(論理)なんですよね。ターゲット層が好むパターンや、その商品に似合う正解の形を見つけるために、たくさんのサイトをリサーチし、分解して、組み合わせていく。とても地道で、骨の折れる作業です。
本当の原因は、依頼する側の「言語化」だった
ここで一番困ってしまうのが、依頼する側であるクライアントさん自身が、次の2つを言語化できていないケースです。
- 誰に向けたメッセージなのか(ターゲット)
- 何を一番伝えたいのか(コアとなる価値)
ここがフワッとしたまま「とにかく、いい感じにおしゃれにしてください!」と丸投げしてしまう。これでは、どんなに優秀なデザイナーさんでも、あなたの頭の中にある「正解」を当てにいくことはできません。エスパーではないですからね。
つまり、失敗の原因はデザイナーさんの腕でも、あなたのセンスでもありません。「頭の中にあるものが、外に出ていない」ことが原因です。
解決策:AIを「翻訳機」として間に立てる
「じゃあ、どうしたらいいの?」——ここで強力な相棒になってくれるのが生成AIです。
実はAIに画像を作ってもらうときも、デザイナーさんへの依頼と全く同じなんです。「いい感じの画像を作って」だけでは、トンチンカンなものが返ってきます。だからこそ、練習相手としてちょうどいい。AIには何度でも、遠慮なく言い直せますから。
ステップ1:AIに向かって、言葉にしてみる
まずはAIを相手に、あなたの頭の中にあるイメージを言語化してぶつけてみてください。うまくまとまっていなくて大丈夫です。話しかけるように書けば、AIが足りない部分を質問してくれます。
ステップ2:画像を作って、たたき台にする
出てきた画像を見て「これは違う」「ここは近い」と感じたら、それが大事な情報です。違和感こそが、あなたの中の「正解」を教えてくれます。気に入るまで作り直す必要はありません。方向性が見えれば十分です。
ステップ3:ワイヤーフレームとして渡す
AIと一緒に作った画像を、「ワイヤーフレーム(デザインの骨組み)」としてデザイナーさんに渡します。言葉だけでは伝えきれなかったあなたの頭の中が、「見える形」になって共有されます。
するとどうなるか。デザイナーさんは「誰に、何を、どんな雰囲気で伝えたいのか」がハッキリわかるため、圧倒的にデザインしやすくなります。修正のラリーも減り、クオリティも劇的に上がります。
そのまま使えるAIへの伝え方
「言語化」と言われても難しいと感じる方へ。次の型に、自分の言葉を入れるだけで大丈夫です。
あなたはデザイナーです。以下の条件でバナー画像のたたき台を作ってください。 ・誰に見せたいか:30代の働くお母さん ・一番伝えたいこと:忙しくても続けられる安心感 ・使いたい色の雰囲気:やわらかい、あたたかい ・入れたい言葉:「はじめての方へ 初回相談60分」 ・避けたい雰囲気:かたい、高級すぎる 分からない点があれば、作る前に質問してください。
最後の一文がポイントです。AIに質問させることで、自分でも気づいていなかった条件が引き出されます。この質問と回答のやりとり自体が、そのままデザイナーさんへの発注書になります。
デザインを発注する前のチェックリスト
デザイナーさんに渡す前に、この5つが言えるかどうか確認してみてください。
- 誰に見てほしいか(年代・立場・悩み)を一言で言える
- 一番伝えたいことを一つに絞れている
- 「こうはなってほしくない」雰囲気も言える
- 必ず入れたい文字・ロゴ・写真が決まっている
- どこで使うか(SNS・印刷・サイト)が決まっている
全部そろっていなくても構いません。「決まっていないこと」が分かるだけでも、発注の質は上がります。そこはデザイナーさんに相談すればいい部分だからです。
AIはデザイナーの仕事を奪うのか
「AIが発達したら、デザイナーの仕事が奪われるんじゃないか?」——そんな声も耳にします。でも、私はそうは思いません。
AIは人の仕事を奪う敵ではありません。むしろ、経営者とクリエイターの間に立ち、お互いの意思疎通をなめらかにしてくれる「翻訳機」であり「橋渡し役」です。
あなたがAIを使ってイメージを可視化することで、デザイナーさんは本来の力を100%発揮できる。これって、お互いにとって最高の「Win-Win」な関係だと思いませんか。
よくある質問
デザインの知識がなくても、AIでイメージを作れますか?
はい。きれいな完成品を作る必要はありません。目的は「頭の中を見える形にすること」なので、色や配置が伝わる程度のたたき台で十分です。
AIで作った画像をデザイナーに渡すのは失礼になりませんか?
「これと同じものを作ってください」ではなく「イメージの共有です。ここから良い形にしてください」と添えれば、多くの場合は歓迎されます。判断材料が増え、修正のやり直しが減るためです。
ターゲットやコアメッセージが自分では決められません。
決まっていない状態でも大丈夫です。今のお客様がどんな方か、何を喜んでくれたかを言葉にするところから一緒に整理できます。
AIが発達すると、デザイナーへの依頼は不要になりますか?
不要にはなりません。AIは意図を共有するための翻訳機であり、実際の品質を決めるのは人の判断と技術です。役割が変わるだけで、専門家の価値はなくなりません。
この記事は、noteに公開した記事に、プロンプト例と発注前チェックリストを加えて書き直したものです。