「プロンプト」「ハルシネーション」「トークン」——AIの話をしていると、知らない言葉が次々に出てきます。でも実は、全部を覚える必要はありません。意味だけ分かればいいもの、知らないと損をするもの、まったく気にしなくていいもの——ここでは、その区別も一緒にお伝えします。
★★★★★ = 意味も覚えなくて大丈夫。人が言っていても聞き流してOK
★★★☆☆ = 意味だけ知っていれば十分
★☆☆☆☆ = 知らないと損をするかもしれないので、ここだけは押さえたい
プロンプトprompt
覚えなくていい度 ★★★☆☆
一言でいうとAIに出す指示や質問の文章のこと。
たとえると料理を頼むときの注文の言葉です。「なんかおいしいもの」より「30分で作れる、鶏肉を使った和食」のほうが、望んだものが出てきますよね。AIも同じです。
こんなときに出てくる「プロンプトが悪いんじゃないですか?」——AIの答えがいまいちなとき、たいていは指示が短すぎるか、条件が抜けています。
知らなくても困らない?言葉自体は「AIへの指示」と読み替えて大丈夫です。ただしプロンプトの質がそのまま結果の質になるので、上手な書き方は覚える価値があります。
生成AIジェネレーティブAI/generative AI
覚えなくていい度 ★★★☆☆
一言でいうと文章や画像を新しく作り出すAIのこと。
たとえるとこれまでのAIが「仕分け係」だったとしたら、生成AIは「作り手」です。届いたものを分類するだけでなく、ゼロから書いたり描いたりできるようになりました。
こんなときに出てくるChatGPT、Claude、Geminiなどはすべて生成AIです。ニュースで「生成AI」と言われたら、この仲間のことだと思ってください。
知らなくても困らない?「AI」とだけ言えば通じます。区別が必要な場面はほとんどありません。
ハルシネーションhallucination/幻覚
覚えなくていい度 ★☆☆☆☆
一言でいうとAIが、事実でないことを事実のように答えてしまう現象。
たとえると知ったかぶりです。しかも困ったことに、自信たっぷりに答えてきます。「たぶん違うかも」とは言ってくれません。
こんなときに出てくる実在しない本のタイトル、間違った法律の条文、存在しない会社の情報。特に「日付・数字・固有名詞・法律」は間違いが起きやすい部分です。
知らなくても困らない?ここは押さえてください。AIの答えをそのまま公開すると、事実と違う内容を出してしまうことがあります。料金、日付、人名、法律にかかわる部分は、必ず人が確認する——これだけで大きな事故は防げます。
トークンtoken
覚えなくていい度 ★★★★☆
一言でいうとAIが文章を扱うときの、細かく区切った単位のこと。
たとえるとタクシーのメーターです。走った距離で料金が決まるように、扱った文章の量で料金や上限が決まります。日本語だとだいたい1文字が1〜2トークンくらいです。
こんなときに出てくるAPI利用の料金表や、「長い文章を入れたらトークン上限を超えました」という場面。
知らなくても困らない?月額プランを使っている方は、ほぼ気にしなくて大丈夫です。「文章の量を表す単位」とだけ覚えておけば十分。
APIエーピーアイ
覚えなくていい度 ★★★☆☆
一言でいうとサービス同士をつなぐ「受付窓口」のこと。
たとえるとレストランの注文カウンターです。厨房(サービスの中身)に入らなくても、カウンター越しに決まった形で頼めば、料理が出てくる。その「決まった頼み方」がAPIです。
こんなときに出てくる「APIを使えば自動化できますよ」——たとえばフォームに入力が入ったら、AIが自動で返信文を作る、といった仕組みを作るときに使います。
知らなくても困らない?仕組みを説明できる必要はありません。ただ「APIを使う=月額とは別に、使った分の料金がかかることが多い」という点だけは知っておくと、見積もりの話で損をしません。
モデルmodel
覚えなくていい度 ★★★☆☆
一言でいうとAIの頭脳にあたる「種類」のこと。
たとえると車のグレードです。同じ車種でも、標準グレードと上位グレードがあるように、AIにも軽くて速いものと、じっくり考える賢いものがあります。
こんなときに出てくるChatGPTやClaudeの画面で、上のほうに名前が並んでいる部分です。切り替えると、賢さと速さと料金が変わります。
知らなくても困らない?迷ったら初期設定のままで大丈夫です。ただし「うまく答えてくれないな」と思ったら、賢いモデルに切り替えてみる——これだけ覚えておくと役に立ちます。
コンテキストcontext/文脈・コンテキストウィンドウ
覚えなくていい度 ★★★☆☆
一言でいうとAIが一度に覚えていられる、会話や資料の量のこと。
たとえると机の広さです。広い机なら資料をたくさん広げられますが、狭い机だと古い資料から片付けていくしかありません。AIも同じで、長く話していると最初のほうを忘れます。
こんなときに出てくる「さっき伝えたことをAIが忘れている」というとき。会話が長くなりすぎているサインです。
知らなくても困らない?言葉は覚えなくてOK。ただ話がかみ合わなくなったら、新しい会話を始めて前提を貼り直す——この対処法だけ知っておくと、ずいぶんラクになります。
エージェントAIエージェント/agent
覚えなくていい度 ★★★★☆
一言でいうと目的を伝えると、AIが自分で手順を考えて作業まで進める使い方。
たとえると「調味料を買ってきて」と頼むのが今までのAI。「今夜カレーにしたい」と言えば、材料を考えて、買って、下ごしらえまでしてくれるのがエージェントです。
こんなときに出てくる2025年ごろから急に増えた言葉です。ファイルを整理する、調べものをして資料にまとめる、といった一連の作業を任せる文脈で使われます。
知らなくても困らない?いま覚える必要はありません。ただ「AIに任せられる範囲が広がっている」という感覚だけ持っておくと、できることの見当がつきやすくなります。
学習データtraining data
覚えなくていい度 ★☆☆☆☆
一言でいうとAIが賢くなるために読み込んだ、大量の文章や画像のこと。
たとえるとこれまでに読んだ本の山です。読んだ内容から答えを組み立てるので、読んでいないこと(ごく最近の出来事や、非公開の情報)は答えられません。
こんなときに出てくる「入力した内容が学習に使われる」という話題。ここが仕事で使うときの分かれ目になります。
知らなくても困らない?ここも押さえてください。お客様の個人情報や、まだ公開していない情報をAIに入れるときは、設定を確認してください。多くのサービスでは「学習に使わない」設定に変えられます。分からなければ、そういう情報は入れないのが安全です。
カスタムGPT・プロジェクトcustom GPTs / projects
覚えなくていい度 ★★★☆☆
一言でいうとよく使う指示や資料を、あらかじめ登録しておける機能。
たとえると常連のお店です。毎回「アレルギーがあって、辛いものは苦手で」と説明しなくても、席に着けば分かってもらえる。あの状態をAIで作れる機能です。
こんなときに出てくるChatGPTなら「GPTs」や「プロジェクト」、Claudeなら「プロジェクト」という名前で用意されています。
知らなくても困らない?言葉より、使ってみる価値が大きい機能です。自分の仕事の前提(誰向けの商売か、どんな文体か)を一度書いておくだけで、毎回の説明がまるごと不要になります。
覚えるより、使いながら分かればいい
ここまで10語ご紹介しましたが、本当に押さえてほしいのは2つだけです。
- ハルシネーション——AIは平気で間違える。料金・日付・人名・法律は人が確認する
- 学習データ——お客様の情報を入れるときは設定を確認する
あとは、出てきたときに調べれば十分です。言葉を覚えることが目的ではなく、仕事がラクになることが目的ですから。